僕は神様/はじめ
 
しれない。目と目が合った瞬間、彼女は肩に掛けていた白の体操着を入れるバッグをぼとりと下の小さな水溜まりの中へ落とした。僕にはそのバッグが今朝の哀れな自分の右足と重ね合わさって見えた。自然に口元にニヤリと笑みが零れた後、僕は完全に意識がなくなった。 
 
 ふと意識が戻り、真っ暗闇の中で大きな欠伸をした。しかし、頬から伝わるざらざらとした感触や右手の薬指から感じるごつごつとした手触りから、僕がうつ伏せになって倒れている場所が砂利の上だということが少しずつ分かりかけてきた。どうやら僕は校舎の屋上から正面玄関を右に曲がってグラウンドと生徒用自転車置き場に通じる、砂利道の枝分かれする手前の地点に転落し
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