僕は神様/はじめ
 
に表現しているのかもしれない。そう見えなくもなかった。学ランの裾が夏風を受けてパタパタパタとたなびいた。僕は味の切れた眠気覚ましガムをガタついている錆びた手摺りにベッタリと括り付け、代わりに排気ガスの味のする下等な空気を胸一杯に吸い込んだ。呼吸を一旦止め、両手を大空一杯に広げた。喉仏の辺りから鋭い咳払いをして、軽く目を閉じた。目の前に全体重を傾けた。微かに体が軽くなったような気がした。足の裏の温度が急激に下がってゆく。色んなぐちゃぐちゃした目に映る景色がぷっつりと消えかけるちょうどその直前に、僕はちょうど校舎から出てきた一人の女子生徒と偶然目があった。彼女はただ、ふと太陽を見上げていただけかもしれ
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