僕は神様/はじめ
つに丸め、思いっきり遠くへ投げた。こんどは靴投げのときよりも勢いがついて、校門前を通った黒のワゴン車のボンネットに偶然激突しまったが、当てられた車のドライバは一向に気づくことなく普通に真っ黒い排気ガスだけを残して通り過ぎて行ってしまった。今回はなぜか僕は別に悪いことをしたとは思わなかった。投げ終わった後、モヤモヤした気分がほんの少しだけ晴れてスッキリとした。
屋上からは僕の生まれ育った街並みを三百六十度パノラマで展望することができた。入道雲が遠い向こうのビル群の隙間からこっちをじっと睨んでいるように見えた。もしかしたらあの雲は、先ほど靴下をぶつけてしまった車のドライバーの無言の怒りを代わりに表
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