僕は神様/はじめ
オロと慌てふためきながら水溜まりから足を抜いた。たぶんおそらくその後、靴の中の泥水を出すために靴を逆さまにした拍子にぱらっ、と靴紐が解けてしまったのだろう。しかしそんなことにも気づかずに僕はまだ水分が抜けきっていないまま再び走り続けた。もしかすると靴紐はただ単に家を出る前にきちんと結んでいなかっただけなのかもしれない。あの時はまだとても寝ぼけていたのだから。
真夏の太陽は飽きることなくギラギラと地上を照らし続けていた。外の世界よりも遙かに蒸し暑いメトスサウナのような玄関にある、長年の埃と酸化のせいで変色した木製の下駄箱の中に靴を長時間入れていたせいか、靴紐は今朝踏み込んだあの汚い水溜まりの水分
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