闘争への序曲/黒猫館館長
 
て、
最も残虐な方法で処刑されるだろう。

それは絶望だ。
しかし悲しまないでほしい。
絶望と引き換えに確かに「正義」が貴方の心に存在していることを、
貴方自身が最も良く知っているはずだ。

「正義」は断固として存在する。
それは神の裡にも、
人間の本性の裡にも無い。

ただ孤立無援を余儀なくされた戦いとしての人間の生の中に、
見出されるものなのだ。
絶望してもなお、余りあるものがある。
それが私と貴方の黙契としての「正義」なのだ。

黄昏時。

貴方への手紙を綴り終えたわたしは、
そっと窓の外に視線を移す。

今は初夏。
遠い祭囃と共に花火が打ち上げ
[次のページ]
戻る   Point(1)