優縁台/チグトセ
 
いたのかもしれない
だからかれこれ
僕たちは付き合わずにそのまま
ここまで来た
こんなところまで来た
ということなのかもしれない。

でもあなたは
この現実をゲーム感覚で楽しめるほど気丈じゃないから
実際にはどのくらい傷ついていたのか
途方もなくて僕は知らない
「たくさん泣いた、」と僕に云った
それしか僕は知らない
あなたとあなたの周りとあなたの世界とあなたの世界の隣を猥雑に掻き回した罪の罪悪感
に怯えながらあなたを見ると
あなたは幼く笑うので
僕は震える。

ねえ僕は
初めからこの現実世界に半分以上いなかったんだ
あなたが就活のためにと家庭教師のアルバイト
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