品川駅PM7:03/シリ・カゲル
自分が何色組なのかには気づきもしないで
なかには、今まさに
塗料を吹き付けられている人に接近しすぎて
割り当てられた自分の基本色の上に
他方の色でしみをつくってしまう人もいたが
そういう人は賞味期限が来る前にはきちんと処分されるのだった
この世には完璧なシステムが存在するのだ
いや、完璧なシステムなど存在しないよ
それがなければ儲からない人がいる以上
どんなシステムにも、あらかじめ致命的欠陥が組み込まれている
いいかい、それは例えば、あの小学生だ
まだあどけない顔をしたその小学生は
真新しい紺色のランドセルを背負い
あいかわらず塗り分けられていく人波を
くぐ
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