品川駅PM7:03/シリ・カゲル
くぐり抜けるように進んでいくと
ちょうどコンコースの中央で座り込み
漢字練習帳を広げて書き取りを始めたのだった
座り込んだ小学生を遠巻きにしながら進む
ピンクのサーモンに指定された人たちが一瞥をくれる
続いてライムのグリーンに認定された人たちが
同じように困惑の表情を浮かべる
彼らのうちの何人かは
もう管理者に通報を済ませたのかもしれない
これは手遅れになる前に、どうにかしたほうが良さそうだな
僕がカップに残ったキャラメルマキアートを飲み干し
文庫本をしまって席を立とうとした、その時
港南口の方から颯爽と現れたのは東京の大鷲で
真新しいランドセルが
そのクレーンのような鋭いかぎ爪に力強く掴まれると
小学生の身柄は紺色の軌跡を残して高輪口の方へと消えていった。
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