「春のはじまりに」/ソティロ
 

長いこと待った春を
のびのびと思うさま味わってた


*


水辺には何種類かの鳥が居て
遊歩道ではこどもがはしゃいでいた
なんならおじいちゃんもはしゃいでいた
もちろん犬も
そしてぼくらも

そろそろ寒くなってきたし帰ろうか


*


帰り道
何年ぶりかに通った道は
すぐに見知らぬ道になって
何個目かの曲がり角で
たぶん本当に知らない土地になった

戻ることもままならず
住宅街はひっそり静まりかえり
尋ねられる人もない
陽は傾きだした

風はぐんぐん冷える
春風の名残はあるのだろうが
いかんせんこの格好ではどうしようもない
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