俳句の授業?/カスラ
 
荒び飢饉や疫病で人々は飢え苦しんでいたその時、街外れの旧い寺院の前に人だかりの列ができている。僧たちが大鍋から杓で熱く煮えた粥を配っている光景が見える。寺の慈善としておこなう炊き出しを頼りに、多くの貧しい身なりの人々が集まっている。阿鼻叫喚のような喧騒のこだまする中、列び来た人々の動めくその中に、ひとりほっそりした色白の美しい女が立っている。それはどうやら若い母親で、小さな子を背負って待っている。背中の三歳には満たないと想われる幼子は、今は屈託なくまだ健やかに見えるが、母親のほうはすっかり衰弱しきっている。母親の番が来た。

『椀はどうした』

粥の入った杓を差し出しながら僧が尋ねる。母親
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