俳句の授業?/カスラ
常の話し言葉は標準語に近いが、いわゆる北海道弁の多くや隠語の中にはこれら入植者のお国言葉がそのまま遺されたものがある。そんな隠語のひとつに『ホイド』というのがあり、賎しく何でも欲しがる者を揶揄して呼ぶ詞であるが、もとは島根県の方言、物乞いの僧、身分の低いたく鉢の僧をおとしめた呼び名であったらしい。京都の一燈園を奔出した放哉は行く先々の寺で寺男として糊口をしのぎ、ついの住家には小豆島のある寺を与り住んだ。その暮らしぶりは変わらずに貧しく、ホイドとして生き、句を詠んだのであろう。結核と孤独のうちにわずか40年ばかりの生を終え、その臨終を看取ったのは近くに住む漁師の夫婦だけだったという。
たく鉢の
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