あるメルヒェン/シリ・カゲル
ました。白いイボガエルが目の前の席につくと、しっぽのないトカゲは持ってきたものを静かにテーブルのうえに差し出しました。
金属の塊は窓から差し込む光を受けてキラキラと輝きました。二枚の長方形の板金を張り合わせて作った細長い楽器。その長いほうの両側面にいくつも開いた空気穴から、今にも楽しい音楽がこぼれだしそうです。森のみんなが待ちわびている、楽しい音楽が。
「ステージの残骸の中から見つけたんだ。ごらん、まるであんな恐ろしい出来事なんてなかったみたいにピッカピカに輝いてるだろう? だからこんな」と言ってトカゲは自分のちぎれたしっぽをぶるんと振りました。「僕でも見つけることができたんだ。ギターやアコー
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