あるメルヒェン/シリ・カゲル
が続きました。イボガエルの姿も見かけませんでした。森全体にぎすぎすとした空気が流れ、動物たちのかわす会話も挨拶程度の味気ないものに変わっていきました。そこで、嵐のときにしっぽを切られた一匹のトカゲが、ついにしびれを切らせてイボガエルの家を訪れました。
体中にミルク色のべとべとがこびりついて、イボガエルはまるで白い殻に被われたように変わり果てた姿になっていました。それでも彼女はそんな外見は気にも留めない様子でお茶の準備をしていました。
「お客さんなんて珍しいわね。お茶でも御一緒にいかが?」
しっぽのないトカゲはテーブルセットに腰掛け、紅茶とビスケットがテーブルに並べられるのを黙って待っていまし
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