あるメルヒェン/シリ・カゲル
よって、幕はずたずたに切り裂かれていました。楽器のたくさん並んだ控え室も、無惨な骨組みをさらしていました。イボガエルが長い間かかって集めた楽器も、バラバラに飛び散り、どれも使い物にならなくなっていました。
そしてイボガエルは楽器だけでなく、自分までもがなくなってしまっているのを感じました。これからも当然続くと思っていたすべてのことが終わってしまい、あとに残された彼女にはもう何をやろうという気も残されていませんでした。自分がいけないんだわ、と彼女は思いました。自分が嵐に対して何の準備もしていなかったから。森に嵐がやってくるなんて思ってもみなかったから。
それからしばらく、森では音楽のない生活が続
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