あるメルヒェン/シリ・カゲル
かってきます。稲光りのたびにイボガエルは頬をひっぱたかれたかのような感覚になりました。雷がステージに落ちたりでもしたら大変なことです。イボガエルはガタガタと震えだしました。彼女はこの突然の暴力に何もできない自分を感じながら、ただ早く過ぎ去ってくれと、それだけを祈り、目をつぶって嵐が止むのを待っていました。
嵐がくぐもった声をあげ、そして突然止んだとき、イボガエルはくたくたでした。それでもステージの状態を確かめなければなりません。イボガエルはからだじゅうのイボというイボからべとべとをたれ流しながら、森の真ん中へと走りました。
ステージは跡形もないほど粉々に砕け散っていました。突き立てる強風によっ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)