あるメルヒェン/シリ・カゲル
 
いるときが、イボガエルにとって一番幸せなときでした。赤トンボがイボガエルの頭上を三度旋回し、どこかへ飛び去っていきました。
お昼を過ぎた頃、森に雨が降り出しました。急に空が真っ暗になり、そうかと思うとピカピカと怪しく光りだし、轟音が森を包み込みました。どこか遠くの方で、樹がバリバリと音をたてて倒れるのが聞こえてきました。風がビュウビュウと吹き、森の樹を激しく揺らします。嵐がやって来たのでした。イボガエルは急いで家に帰りました。
家の中から外を眺めながら、イボガエルはステージの事が気になっていました。吹きすさぶ風は樹木をなぎ倒さんばかりで、横殴りの雨はしだれた草花にさらに痛めつけようと降りかかっ
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