ダニエルは飛び込んだ!/ブライアン
 
隠れている。そのたびに変化する生まれた土地の景色は、もっと、あらゆる存在に気がついていたのだろうか。
 目では見えなかった。だが、存在は確かだった。それは「見えてきてよいもの」ではなかった。脳はその存在を隠した。それを「見えてきてよい」とすると、人は一歩も歩けなくなるほどの情報の前で、立ち止まり、怯えることしかできなくなるのだ。
 高度に発達した視覚世界だからこそ、存在するものでも「見えてよいもの」としない脳の処理能力に反論はない。しかし、見えないものでも信じられるほどくらいの、生活の余裕さえも取り除かれていく。
 人はよく真実を称える。だが、その真実は中途半端なもので、脳に捏造されるがまま
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