ダニエルは飛び込んだ!/ブライアン
ままのものなのかもしれない。
少女とダニエルは会話をする。少女にとって、ダニエルが少々変わっていることは大して気にならないようだった。つじつまの合わない問答にも、答えにならない質問にも、あらゆるものを拒絶する沈黙にも、少女がダニエルを見つめる眼差しに変化はなかった。
ダニエルは、少女を見、初めて世界を手に入れたのかもしれない。小さな世界だ。彼女が変わらずに見つめてくれる眼差しだけの世界。
自分の言葉が、宙を漂い自らに一方的に戻ってくるものではなくなった。「地表から離れ」、「絶対の途絶性」による「確たる安全地帯」ではない世界だった。
少女は人であった。ダニエルが立ち上がると、そこ
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