ダニエルは飛び込んだ!/ブライアン
勤ラッシュ。見知らぬ者同士が、ピッタリと体をくっつけあっている。見知らぬ人が目の前に押し付けられる。これほど近い存在に対して、「絶対の途絶性」を抱く。足を見つけられても、体重をかけられても、何も感じない。誰も何も言わない。人がそこに存在していないかのようだ。
渋谷駅に着くと、扉から一気に人々の姿が拡散されていく。その景色に一役買いながら、個々の存在が「絶対の途絶性」の集合によって都市が形成されていくのだ、という思いを抱かずにはいられない。
都市では、無感覚こそが「確かな安全地帯」であり、すぐ隣の人も、遠くの見えない人も心理的な遠近差において、大差はない。人々は、都市形成によって、「地表を離
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)