ダニエルは飛び込んだ!/ブライアン
 
を離れ」世界と断絶し、「確かな安全地帯」を作り上げた。それは、自由自在に途絶性を獲得することであった。

 ダニエルは昨日の決意が虚しく崩れていくことにさえ苦しんだ。苦しみや悲しみの感じない決意とは、同じ決意であっても「似て非なるもの」なのだ。今、この場には苦しみも悲しみも存在し、飛び込むことの恐怖が、ダニエルを大地に縛り付ける。
 昨日の決意が、ダニエルから「確たる安全地帯」を奪い取ってしまった。ダニエルは崖の上で、恐怖、崩れていく決意に対する悲しみ、苦しみを噛み締める。噛み締めることは押さえつけることでしかない。その堤防は崩壊する。崩壊した後、ダニエルは無様に泣き崩れることしかできない。
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