らぶれた/影山影司
 
上に俺は寝転がっていた。日差しは少し強かったが、柔らかい風が丁度良い空気を作っていた。先客の男女が、物陰で1ラウンド30分の寝技試合を決め込んでいたのには少々気分を害したが、彼らのお楽しみを邪魔するのも気が引けたので静かに寝ていたんだ、俺は。「する?」突然の声に目を開けるとキリコが居た。俺の頭のあたりに立って、顔を覗き込むように。上下互い違いに見つめ合うと、キリコが「でへへ」とだらしない笑いを浮かべた。我慢できないでしょ? とでも言いたげに、物陰を顎で指す。
 どうやら俺が、物陰のやりとりを盗み聞きしてると勘ぐったようだ。
「遠慮しとく」
 と、言おうと思ったら、キリコが俺の顔を跨いだ。そし
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