砂漠となる/光冨郁也
を歩いた、スニーカーがこんなに重いなんて。石をふみ、小さな枯れ木をまたぐ。茶色い鳥の羽根が落ちている。ただ歩く、そのざわつく肺に、吐き気がして、腰に手を置く。頭が熱くなる、視界に光の尾がいくつも回り出す。身体が固いものに押しつけられたように傾く。意識が渦のなかにのみこまれる。ゆっくりと地にひざを付け、わたしは倒れてしまった。
寒い空の下で、わたしは汗をかいている。なにかの影が頭上を横切る。額から流れた汗がこめかみをつたう。幼子のように体を丸める。いだかれたい。枯れた草がわたしを包み込む。ずれた眼鏡の位置を直しながら、眠る。草の端が口の中にはいる。乾いた味だ。そのうちなにもわからなくなる、まぶた
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