ワーキングホリデー/水町綜助
 
月がね
切った爪みたいでね
汚れた爪
置かれてた
夜空に貼り付いた枝の隙間に
どこまで歩いても
消えなかった


もうどこにいけばいいのか
わからないはるが白すぎて
どこからいなくなったって
どこにとどまったとしても
いくつかに切り分けられて
差し出さなければならない
見ることになる肉の断面を


爪をね
さされて腫れたところに立てていた
跡が付いて
一瞬白くなってすぐにまた充血した
息を吹きかける


 *


行儀良く取り分けることのできない出来事のうえに
山で拾ってきた記号を適当に散りばめて置いてある
そして腕組みして眺めてい
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