カーニバル/真田徹基
 
新は気紛れの気分屋だと思われていた.
一緒につるんでいる女の子を
「君は本当に最高だ」と褒めちぎったかと思えば
次の瞬間めちゃくちゃに罵っていた.
それ故彼を取り巻く女の子は一喜一憂が激しく
彼の周りは常に騒然としていた.
しかし彼は騒ぎが起こると必ず無口で静かになった.
喧噪とはまるで無関係とさえ思えたし、平穏さすら感じさせた.
しかし彼がいると必然的に何かしら事は起こった.
故に彼は喧噪が好きなのだとみんな思ってた.

しかし彼がいつもいる場所は他にもある.
例えば教会のミサ・神父の説教だとか.
人が大勢で熱狂し、信じてやまず、想像力を停止させれば
そこには必ず真っ
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