街/はじめ
 
 夢の波止場に着くと
 僕は簡易な船を降りた
 空は真っ白で波止場はチャコールグレーだった
 やけに落ち着いた人々が行き交い
 さっぱりとした潮の香りで満ちていた
 この何の変哲もない空は僕の心を表していた
 僕は何か光を隠しているような気がする
 木箱を運んでいる船夫にぶつかった
 ここから君の街まで行くにはどうしたらいいんだろう
 この場所以外空の色と同じフィールドが広がっているだけだ
 君の街はシミのように何処かに点在し拡大しようとしているだけだ
 もうすぐこの場所と繋がるつもりだ
 僕は広がったシミを渡って君の街へ行く
 君の街は一年に一度滅びる
 街は生きてい
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