十年間/MOJO
 
われるのだった。 結局、数年後に私はその会社を辞めた。シトロエンを売り払い、半年ほど自宅で休養してから、親族の経営する食品会社に世話になることになった。私の仕事は東京の東はずれの駅に隣接するショッピングモールの地下街の惣菜を売る店で、コロッケやメンチカツを揚げることだった。月給は半分以下に減った。当時の私はそのことを不満に思っていた。ろくに働かないパートの主婦や学生アルバイトを怒鳴り散らしながら私は屈託していた。
 ある日、本社から呼び出しを受け、行ってみると、私のパート主婦や学生アルバイトに対する態度が問題になっていて、上司から店を変わるように言われた。その店は自宅から片道二時間以上かかるとこ
[次のページ]
戻る   Point(4)