空の下、浮遊するドアに手をかけ/紀茉莉
 
でも、入り口があり、出口がある。
それはドアであり、誕生であり、死であり、出会いであり、別れである。
犬が尻尾を追いかけて回るように、それらは連鎖し、つながっている。
個別には、切り離されていても、つながっている。

不思議だ。

連鎖する空間のあいだとあいだに居るような今の私は、そんなことを思う。

もう一度戻りたいドアのある部屋も、もう二度と戻りたくないドアのある部屋も、いまこうして私が居るこの部屋も、同じ空の下に浮遊しているのだ、たぶん。

ふと、した拍子に、過去を感じたり、同じようなことを繰り返してしまったり、匂いを思い出したりするのは、そんな別のドアノブに、手をかけ
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