球根/もろ
 
と螺旋を描いて上っていった

数秒が経って
息を吐き出してしまうと
吐き出す酸素はもう残っていなかったのか
ぼこぼこと
なにかを吐き出すことはできなくなってしまった
かわりに
指の傷から
まるいビーズのような酸素の球が
赤い螺旋と並んで
上へと上っていた

そこは
とても狭い部屋だったけど
天井はなくて
見上げれば
空との境はないようだった
私の螺旋は
ずっと空まで高く伸びて
ある雲の中へと続いている

事務員のおじさんは
よく見ればうつぼの形をしていて
私のほうへ泳いできたかと思うと
私のわき腹をかじりとって
またどこかへと泳いでいってしまった
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