球根/もろ
 
った

螺旋が
もう一本増える

雲の上はオハナバタケだ。
初めて見る雲の上
私の螺旋は
そのうちの一本の根、
それからもう一本の根に
繋がっていて
見たこともない花を咲かせていた。
隣では
さっきどこかへと泳いでいってしまったうつぼが
雲の上に顔を出している。
私は
私から伸びているうちの一本を摘んで
部屋の隅
ドアまで引き返す
外は夜。

ドアを開けて外へ出ると
紫色にぼんやりとひかる窓の中で
おじさんがまだ仕事を続けている。
おじさんの左手には
花が握られていた
こちらを見て
にこりと微笑む
見知らぬおじさん
私もにこりと微笑みかえす。

空を見上げると
月の脇に雲がかかっていた
あの雲の上は
きっと
オハナバタケだろう。
そのうちのいくつかの根は
私に繋がっている。

花が
咲いていて
くれた。

忘れてしまった
家までの道を
軽い足取りで
歩いて帰る。


**poenique**詩会**2007.02.11**

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