また一つ、愛が終わった。 /服部 剛
 
届くことの無い手紙を、夜毎の闇に投函している。
    
不器用故に、時折風が運んだ巡り逢いに、
交わし始めた愛情は、
いつも一時の花火で終わっていた。 

そしてお互いの間にある人知れぬ花を、
密かに育んできた君さえも、
今迄の誰かと同じように、
闇の向こうに後ろ姿を消す。 

そして細い風唄の泣き声を漏らす、
哀れな野良犬の僕だけが、
世界に独り、人知れぬ夜に取り残される。  

胸に消えることの無い傷跡のような 
細い月は、今宵西の空に沈もうとしていた。
   
今夜、一つの愛が、終わったのかも知れない。 
また、愛をやり
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