また一つ、愛が終わった。 /服部 剛
やりなおさねばなるまい。
大丈夫、胸に凍みる北風には、昔よりも慣れている。
たとえ一つの愛が終わっても、
夢を求めて歩む、途上の道は終わらず、
隣に微笑んでいた君はいないままに、
僕のまだ知らぬ明日の方角へ道は伸びている。
冬空には無数の星々。
それらは、この地上で出逢う
かけがえのない人々の胸に宿り、
暗闇へと消える道の向こうに瞬いている。
まだ、大丈夫だ。
そして夢遊病者の野良犬となり、
夜道を歩き続ける僕は
目の前を覆う闇の向こうに幻を見るのだ。
夜空に瞬く星を胸に灯すひとりのひとが、
歩き続ける道の途上で待っているのを。
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