ロナの憂鬱/緑茶塵
 
に手を入れて何かを探っていたようだが、魔法使いのする事は君が悪くて仕方が無い。そうやって日が暮れるまで海の上に居たんだが、夕方ごろになって突然海の中に落ちたのさ。そのまま溺れるみたいにして流されて、さっきここの近くの浜辺にながれついたんだろうさ。関わるな、関わるな」
そう言って、その客は安くて量の多い酒をグビリグビリと飲み始めた。

ロナは身体が吹き終わった男からぼろ布を受け取る。ぼろ布はクシャクシャに濡れていた。
「あなたは魔法使いね。それにずいぶん若いようね」
とロナが聞いた。
若い魔法使いは魔法で濡れた服を乾かすと、それを着始めて「そうだ、おれはまだ若いま魔法使いだよ」と答えた。
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