「カーテンコール」/和 路流(Nago Mitill)
り、泣いてもいいのだと
過去と未来の僕が、僕に許す。
何の必要もなく生まれてくる存在などないのだと、
幸福に青空を見上げている 子供の僕が言い、
未来という可能性を忘れてくれるなと、
穏やかに笑む 未来の僕が
だから 今、ここに生きているのだと
明日へと僕を呼ぶ。
そうだ
傷つき血を流す生きた手が自分にあることを忘れて、
ただ、自分の存在に苛立っても仕様がないのだ。
誰かの手を待っているのは、きっと 傲慢で、
自分で手をのばして、生きてみるのだ。
未来で 待っている人のために
僕は今、この壁を越える。
立ち上がるために、生き続
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