ピアス/ロリータ℃。
 


若さの中に埋もれていたのかもしれないね
乾いた木にもたれかかって
微熱を持った耳に唇を寄せた


それは丁度冷たい風が月明かりをざわめかせたとき
その落ち着き無い立ち居振る舞いが急に不機嫌に静かになって
私はほんのすこし伏せたまつげにくちづけながら
その耳たぶを優しく食む

舌に冷たい硬い感触
とても柔らかい耳たぶなのに
飲み込めなくてゆるくなぞった


甘えてばかりで見えてなかった
私に与えられたものは喪失なのだろう
けれど失うことはかつて所有していたことの証だから
私は笑って手を離そう

持っていたことにも気づかなかったけれど
手にいれた瞬間き
[次のページ]
戻る   Point(3)