東京放浪/うめバア
 
漫画喫茶で生活している
あの子と僕は

まだ一度も口をきいたことがない

僕のタンスはコインロッカーだ
僕のバスルームは公園の水道だ
毎朝、派遣会社からの呼び出しを待って
暗いうちに出掛けている

あの子のベッドは隅のソファだ
凍えるように寒い夜
まっすぐ眠れなくて全身がガチガチでも
夏の、体臭よりはいいよね。

家族と言う名前の隠れ家を僕たちは知らない
生まれた時から、寒い町しか知らないから
でも、もうべつに
叩けば割れてしまうような殻を作らなくても
僕の心はとっくに鉄条網で囲われてしまっている

それはあの子も同じだと思う

毎日ネットで探している
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