Kanon/水町綜助
 
めに走ってる道なんてめずらしいだろ
勘違いかも知んないけど潮の匂いみたいのがたまにするし
あとさあ
西に向かうじゃん
だから
こんくらいの学校帰りの時間はさぁ
ひかりが
目の前から来るから
好き

よく聞こえない
聞こえないよな
声張り上げても
70キロしかでてないけど
思ったより声も出てないしさ
車が
うるさいよ


風に吹かれて僕の匂いがとんでいく
君の匂いは増していく気がする
湿気た窓のない暗い部屋で
抱きしめたとき
つめたくなった体に君の体温が流れ込んで
うなじの後れ毛に顔を押し当てたとき
君のにおいがあふれて
僕は泣きたくなるほど幸せだ
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