山間の月/まれ
のような円柱状の
その棺のふたを、おとこは取り、月の光が棺を満たすと再び、
ふたを閉めた。
蓋のその裏にもまた鏡。
むしろを棺の上に被せると、おとこは棺に土をかけ埋めた。
つぎは新月、と言った。
昼は満足と疲労の内に眠った。夜は愉快でさえあった。すこしずつ、
月が欠けてゆくからだ。あの薄い昼の月など手で破いてしまえそうだった。
月の無い夜がきて、
厚く恩着せがましい闇がおとこの家を覆った。
おとこは休む事をせず土を掘り、棺を中心にぐるりとお椀のような穴をこしらえていった。
それが済めば、家から水瓶を持ち出して穴の中へ水をあけた、いくつも幾つも。
そうして出来た水面には
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