山間の月/まれ
には黒々とした髪の毛が目立った。
また肌は青白かった、まぶたは閉じられていた。
水は棺を水中のものにしていた。おとこは娘の首に手を添えて動きを止め、棺のふたを開けた。月光が注がれた。おとこの造ったその池はコウコウと満月のようだと、見えた。
その夜の雲ひとつ無い闇、は、たじろいだか?
おとこの影がひとつ、
輝く水面に浮いた。
そして、またたく間におとこは影を棺に詰めた、
娘の亡骸と共に。
溢るるほどの水もいつのまにか土に取られ消えた。
光りももう見えない、その後は闇、
曙光さすまで。
戻る 編 削 Point(3)