「 蒲鉾と犬と、月。そしてあたし。 」/PULL.
 
のウロコ公園を通る。
買い物の帰りにいつも、
彼と通った公園だ。
あの夜以来の公園は、
しんとしていた。
すごくしんとしていた。
あまりにもしんとしているので、
少し恐くなった。
少し恐くなったので、
啼いてみた。

「わん。」
そう啼くと、
「わん。」
と啼き返す声があった。
誰だろう?。
もう一度啼いてみる。
「わん。」
するとまた、
啼き声がした。
下の方からした。
「わん。」
犬だった。
「おまえひとり。」
声を掛けると、
「わん。」
返事が返ってきた。
犬は素直だ。

犬は雑種で、
青みがかった灰色の毛をしていた。
お腹が空い
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