記憶の断片小説・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
 
葉しか出ない。

俺がいる環境は、あまりにも恵まれているのだと思う。
そんな環境を欲する人間が何人もいて、
その環境を得る事が出来ない人間もまた、何人もいる。
俺がこれを書く事を躊躇った理由は、そこにあるのかも知れない…と、思った。

俺は随分と変わったんじゃないだろうか。
アトピーの苦しさを乗り越えた俺は、何らかの自信を得たのだろう。
(完治した訳じゃない。落ち着いているだけなのだが。)
あまり、ちょっとした事で驚くような事も無くなった。
これは、無感動無関心になったんじゃなくて、
その頃のショックが大きかったから、だと俺は思う。
大抵の事は受け入れられるし、激しいショ
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