犬をめぐる文学的断章/葉leaf
 
通したその本質である。朝のあらゆる事物にとって、形はいまだ十分に獲得されていない。事物は形を安定させるために、存在を焼き尽くすような苦痛を味わっている。犬は出てこない。犬小屋の中は恐らく空間ではないから、犬は想像もつかないような眠り方をしているに違いない。フンだけがある。私はきっと犬ではなく犬の生理を愛しているのだ。それゆえフンにさえ明晰な愛情を感じる。犬の生理の中枢で反目し混ざり合った衝動とグロテスクさが、いくつかの毛羽立った切断面を通過したのち、臭いとしてフンから放たれる。愛情は嫌悪の表面で転がり、嫌悪が不意に波立つとき、私はフンから目をそらす。フンを片付けるのは父の役割である。

昼、犬
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