「時間という地層」/広川 孝治
 
もはや平成十九年
平成生まれの人たちが社会へ出始めている

昭和天皇の崩御や元号が変わるニュースや
大喪の礼で学校が休みになるという出来事も
彼ら彼女らにとっては歴史上の出来事

そう
手塚治や美空ひばりが死んだことも
日航機が墜落したことも
阪神のバースと掛布と岡田のクリーンアップも
リアルタイムでは知らないのだ

あの昭和から平成への時代の移り変わりは
自分と彼らとの間に
何を横たわらせただろうか

時の地層に埋もれ始める自分を見つける
アンモナイトやなんたらザウルスのように
流れる時の中で自分は風化し埋もれ石化し
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