清野無果「■批評祭参加作品■ネット詩fについて」を読んで、インターネットにおける言語表現について/田代深子
 
に帰着する、とも指摘されている。二葉亭四迷は下品で俗とされる終助詞「ダ」を敢えて選びとり、「いかにも下品であるが、併しポエチカル」(余が言文一致の由来)な小説文体を目指した。また彼はロシア文学の翻訳経験から、自らの小説に「!」「?」などの記号を用いて、後に続く小説家たちに、そしてその読者たちにも大いに刺激を与えた。こうした「新鮮な」小説文体による日本語表現全体への影響は、インターネット時代である現在にもなお続く。たとえば村上春樹や町田康などの文体は、それ以降の若い作家たちと読者たち、彼らの書き散らすインターネットの言語表現に、抗いがたく影響を与えている。だが二葉亭四迷に連なり変成し続けるこれらの文
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