清野無果「■批評祭参加作品■ネット詩fについて」を読んで、インターネットにおける言語表現について/田代深子
 
『岩波講座日本語10 文体』1977)


言フ所書ク所ト其法ヲ同ウス以テ書クヘシ以テ言ウヘシ……アベセ二十六字ヲ知リ苟モ綴字ノ法ト呼法トヲ学ヘハ児女モ亦男子ノ書ヲ読ミ鄙夫モ書ヲ読ミ且自ラ書クヲ得ヘシ
(西周「洋字ヲ以テ国語ヲ書スルノ論」、1874)

 江戸期において都市住民などの識字率が高かったことは一般に言われるところであるが、それは明治期に求められた近代国民の国語とは違っていた。為政者にとってみれば、新しい国語によって普く国民は教育され、近代国家日本の人的資源とならなければならない――そのための言文一致という側面が強くあったのである。公文書の合理化という意味でも、表
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