清野無果「■批評祭参加作品■ネット詩fについて」を読んで、インターネットにおける言語表現について/田代深子
作品は、柔弱なゲル状の粒を集めたような、とりとめのない語の集合体として表されながら、その質感によって一体であり、かつ質感のみが作品の本質である。彼女自身のインターネット上での振る舞いと同期するように、その言語表現は他との関係性と影響に怯えおののいている。怯えおののきながら関係性を飲み込み、それにより変化しているようでいながら、徹底的に独語としてある。独語であるということがどういうことか、と改めて問うならば、自我が自我であることを認識しないまま漏れ出る言語表現であろう。インターネットの速度が、そのような言語表現をあらしめている。げんに最果タヒがどのような制作過程をたどっているかが問題なのではない。最
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