うなばらをこえて/李恵
 


ベランダをまたいで小さな隙間に足をかけるよ。
手の力だけで身体を支えて空を見るとやっぱり雲はなかった。
このまま地面に吸い込まれていきそう。重力が私を呼び寄せる。

死?恐くないよ。死は美しい。なぜなら生物には生があり死があるから。
遣り残したことたくさんあるけど「またあえる」から恐くない。

悲しまないで。またあえるんだ。

だってまた君にあえた。一緒に育った君にあえたよ。私が呼び寄せたのかな。
それとも・・・・。


となりでカリカリとベランダのフェンスを爪でかく音がして目を向けるとドラフトが。
ドラフトが地面を見たがっている。
ドラフトはそのたくましい身体
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