堀川/水町綜助
 
れは写真なんだから

君が昨日の晩に見せてくれた写真だ

時計とか言う道具を使って言えば

もうずっとずっとむかしの一葉

父がまだ普通だった頃のわたし

はは笑ってるけど歯が抜けてるね

私の顔も、表情もあかるいよね

そうだね


何気なくシャッターが切られたときから

すべてが木っ端微塵に整合性を失いだして

ひとの輪郭は

山々の稜線は

ほどけ

それではみ出した色は

色として独立してあたりを重なり合って塗りこめた

その沼に僕達をかたどっていた線はずぶずぶと沈みこみ

色は氾濫し

やがて黒一色になったかと思えば唐
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