小春日和/ねなぎ
等は
気が着く事も無く
あの夏の花火のように
鼻で笑っていた
人々と同じ様に
暮らして行く
そして
海の声が
聞こえなくなってしまう
海の声が
どこかに
消えてしまう
それで
何も困る事など
無いと言うのに
花火は見えても
その向こうの
夜空は
薄ぼんやりとして
見えなかった
そのままの
青のままで
特に
何も無く
くすんだ景色の
寂れた町に
消えていく
海が無ければ
誰も来ない町で
何も言わなくても
解った気がする
そして
僕等は
あの町の
眠るような
海の中で
浮かんでいる
ままだった
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