小春日和/ねなぎ
 
った

時間が止まったような
寂れた町には
人気も無く

誰も
居ないように
静かに
空気だけが
湿っていた

黒ずんだ壁の
トタン屋根の下で
僕等は
声も出さずに
眠っていた

壊れた網を
投げては引っ張り
掛る事の無い魚を
ひたすらに眺めていた

潮の匂いが
キツ過ぎて
何も見えなかった

青い色だけ
溢れてて
僕等は
匂いも
知らなかった

そして
やる気の無い
漁村の
出かける事の無い
船の突端で
僕は
まどろんでいた
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