小春日和/ねなぎ
 

イラついていた

そして
誰も居なくなった

そして
あの夏に見た
花火のように

誰も居なくなった

僕等は
海にも入らずに

眺めていた
その先に
境が曖昧な
青が広がって

何処かから来て
誰かが来て
そして
去っていく
そして
僕等の日常は
特に変わる事も無く
続いて行く

その先にも
後にも
何も無い

曖昧な青だけが
散っていくように
漂って

そして
花火は
終わって

誰も
暗い空を
見上げなくなった頃に
僕等は
海の声を聞いていた

煙草を吸う事を
特に感じなくなった頃に
僕等は
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